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ファントム・スレッド そしてその女はキノコ狩りへいった。

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平日夜、ある友人からの電話。

 

「映画行こ!ええと、見たいのはねぇ……」

 

「うん、いいよ」

 

「まだ見たい映画のタイトル言ってない!笑」

 

こんな経緯から、私はある映画を見てきた。

 

それがこれ。

 

「ファントム・スレッド」

 

 

phantomthread.jp

 

主演はダニエル・デイ・ルイス。

私が好きな「NINE」という映画にも出てる。

電話をかけてきた友人はこのおじさまの大ファンらしく、

この「ファントム・スレッド」が彼の引退作になるとのこと。

これを見ようと私を誘ってくれたわけだ。

ちなみに友人の映画センスはかなりのものであると常々尊敬しているため、

友人がタイトルを言う前に、鑑賞同行に賛成した次第。

では、これよりこの映画の感想をネタバレ含め書いていく。

 

正直にいって、この映画。

 

めちゃくちゃ怖い。

 

ラストシーンなどは寒気が止まらない。

 

小さな子供よろしく、手で目を覆いたくなった。

 

アルマは主人公にとっての必要悪なのだろう。


主人公はドレスをつくることに取りつかれていた。

 

ドレスを作るためなら人の限界を超えるほどに働き、

 

いつか壊れてしまうだろう。

 

そこへ現れたのがアルマであった。

 

主人公がドレスのために過労死する寸前で、

 

きのこの毒により強制的にオーバーヒートを止めるための安全装置。

 

これにより主人公の体は折れることなく、永遠にドレスを作り続けることができる。


身体的制約からの脱却。

 

また、こんなことも思った。


男を落とすにはまず周りの女から。


主人公の姉、最初の主人公の女はささっと切り捨てたのに


アルマは切り捨てなかった。


なぜか。


御しきれなかったのだ。


アルマをじゃない。


変化を受け入れ、ドレスを作り続けようとした何か強い意思に。

 

ダニエルの体を繰り返し壊し、再生させるためにアルマという安全装置を必要とした。


一見すると狂喜的、いびつな関係に見える彼らの関係も

 

実はドレスを作り続けるためのシステムに過ぎない。


多くの女性がダニエルの服を紡いでいく画は、ダニエルをトップとした、

 

それこそ一糸乱れぬチームに見える。


しかし。


そのダニエル自身もそのプログラムのひとつに過ぎないとしたら。


まるでドレスを作り続けることを宿命とした菌類が、

 

自らをよく繁殖させるための土壌を選ぶように

 

何かがダニエルを選んでいたら。


先ほど、何か大きな意思、という表現をすることにためらいを感じた。

 

なぜか。その言葉の陳腐さにではない。

 

その大きな意思、の主を本当は知っているからだ。


ではそれは誰か。


母だ。ダニエルの母。自分でドレスを縫った母。

 

姉を結婚できないドレスの呪いにかけた母。

 

そして息子には結婚することでドレスをつくる呪いをかけた母。

 

この物語はドレスを作り続けるという運命プログラムに

 

その人生をささげた人々の物語であった。

 

 

この映画、ただのエロおやじ映画ではなかった。

 

久しぶりにNINE、見直そうかな。